君を知ったその日から
横目で見ながらそんなことを考えつつ、自分の席に落ち着く。後ろを振り向くと、これまた静かに小説を読んでいる愛子。
征登とは違い、愛子は恋愛小説を読んでいる。
なんとなく暇だったので、本から目を離さない愛子に声をかけてみた。
「…今日のはどんな内容?」
「んー?先生と生徒のイケナイ恋愛やけど」
「……へー、」
もはやそう返事するしかない。
「へー、原田さんってそういうの読むんや?」
いつの間にここへ来たのだろう。健二がひょっこりと顔を出しながら言った。
ちなみに、愛子の顔の隣から。
2人はビクリとして、愛子は早急に小説をパタリと閉じる。
それは驚いたからの行動であり、特別見られたくないということではない。
言うならば、反射からきた行動なのだ。