君を知ったその日から
それに驚いて愛子は顔をあげて、絵里はちらりと征登を見る。
すごく優しい表情をしていた。
「自分の好きなことに熱中できるの、俺はいいと思う。そういう人、俺は好きやから」
あまりにも優しい表情をして言うものだから、絵里は胸が鳴ってしまった。
そんな自分がなんだか嫌で、首を勢い良く横に振る。もちろん、絵里の行動を見て愛子はわけの分からない顔をして、征登と健二は怪訝な顔をしていたわけだが。
「絵里、どうかした?」
「ううん、何でもない」
一通り雑念を取り払うように首を振った絵里は、苦笑して言った。