君を知ったその日から
言ってる途中で恥ずかしくなったのだろう、愛子はだんだんと赤くなっていく。こういうのが男ウケするんだろうな…なんて他人事のように思いながら、絵里は一口大のご飯を口に含んだ。
2人は買い物に出掛けていて、昼食をとりに近くにあったファミレスへと入った。
どうやら、トイレから戻ってくる時にそのかっこいい人とやらを見たらしい。
純粋というか、素直というか。
そういうところが、愛子の長所である。
「どんな人やったん?」
「えっと…、黒の短髪で身長が高くて、眼鏡が似合う人やった」
その人の容姿を話す時の愛子が、なんだか可愛らしかった。白のワンピースが、彼女によく映えている。
あぁ、これは一目惚れしたのだろうと、絵里は勝手にそう解釈した。
「そっか」
「なぁ、絵里」
「ん?」
「…食べるの遅いで」
「…うるさいよ」
…そんな、春休みのひととき。