君を知ったその日から
眼鏡をかけているこの人は、高平征登。並んで歩くと、ただでさえ小さな絵里が余計小さく見えてしまう。
前を向いて無言て、歩いている征登を、絵里は盗み見た。
確かに、整った顔立ちをしている。
ドキッとしたのはこれのせいに違いないと、絵里は思った。
「なぁ、春休みにファミレス行ったりした?」
「え?あー…確か友達と行ったと思うけど…何で?」
「いや、何でも」
征登の答えに、やっぱり愛子が一目惚れしたのはこと人だと、絵里は勝手に解釈した。
征登に会ったら愛子はびっくりしるんだろうなと、そう思うと頬か、緩んでしまう。なんだか、悪巧みを思い付いた子供のような気分だ。
そんなことを考えていると突然、隣から笑い声が聞こえてきた。
もちろん、隣にいるのは征登だけで、それこそ絵里は何もしていないのだから、驚いてしまった。
「え、え…何?」
「へ、変顔……」
「…………はぁ!?」
変顔なんかしてへんし!!
そう言うと、「ゴメン」と口にしながらも征登はまだ笑っていた。