アイ・マイ上司とlove★battle
今までどんなに熱い眼差しが送られてても、輝の鬼課長ぶりのせいか。
誰もが遠巻きに見ているだけで…、だから彼女のような態度の人は初めてだ…。
「鈴、気にしない方が良いよ?」
「うんっ、…仕事しよう!」
涼子の優しさに笑って返すと、見ないフリをしてデスクに戻った。
通常業務に加えて、ミスのせいで溜まっていた書類を手に取りながらも。
ソレでも視界に入れてしまうのは、涼しい顔の課長と笹森さんだ…。
私の輝…なのに、そんなに触らないでよ…――
その言葉を呑んだ代わりなのか…、ギュッと痛みを覚えてしまって。
2人からフッと視線を逸らして、電卓片手に数字と戦い始めたのに…。
「ねぇ…、貴方が斉藤さん?」
「え・・・、あ、はい…」
突然に名前を呼ばれて顔を上げれば、見たくない人を捉えてしまった。
「改めて…私は笹森です、宜しくね?」
「あ、こちらこそ宜しくお願いいたします」
ニッコリ簡単な挨拶を受けた私が、ガタっと音を立て席を立ち一礼すれば。
「それで今日から指示系統を変えて、私が貴方に指示を流す事になったから」
「え…、あ、かしこまり、ました…」
その言葉を聞いて、仕事だからとムリヤリ笑顔を作って頷いたけど。
今までの伝達・指示系統はすべて、直属の課長である輝だったのに…。