アイ・マイ上司とlove★battle
対峙する笹森さんの隙間を縫って、チラリと課長席へと目を向ければ。
至って平素な仕事モードで、素早く書類に目を通す彼の姿を捉えた…。
昨日の夜だって、朝目覚めた時だって…、何も変わらなかったよね?
“鈴ちゃん”って、いつもみたいに甘やかしてくれてたよね?
内部改造のコトを輝は当然知ってて、ソレを黙っていたの…?
「っ・・・」
役職者のみの通達事項だったから、上司として当たり前なんだと思う。
だけどコドモすぎる心がギュッと締まって、痛みを覚えて仕方ないよ…。
「…斉藤さん、今の話は聞いてたかしら?」
「え、あ、す、すみません…!」
突然に響いたトーンの低い声で、ハッと我に返って謝罪する私。
「はぁ…、話もマトモに聞けないの?」
「っ、…すみません…」
その声色は呆れたというより、嘲笑っているようにしか聞こえない…。
だけど私には何も言い返せる訳もなくて、ただ謝るだけで精一杯だった。
昨日の今日で、課長との距離がいきなり遠くなるなんて…――