アイ・マイ上司とlove★battle
分かってる…、仕事とプライベートを線引きするから言わなかったんだって。
それにね?贅沢すぎるんだって分かってるけど…、やっぱり悲しいよ・・・
「私は彼と違って、容赦しないからね?」
「っ、かしこまり、ました…」
笹森さんの鋭い視線を避けたくて、込み上げるモノを耐えようと俯けば。
「それじゃあ、今日中に“ソレは”終わらせておいて。
言っておくけど、下らないミスはしないでね?」
「はい・・・」
私の態度にフッと笑った彼女は、ようやくヒール音を鳴らして踵を返した。
ショックなのか恐怖からかは分からないけど、でも心が痛くて堪らない…。
ようやく対峙していた威圧感が消えて、力なくチェアに身を沈めれば。
「ちょっと鈴…、大丈夫?」
「うん、大丈夫だよ…」
険しい顔つきを笹森さんに投げ掛けつつも、優しい声色で私を心配してくれて。
何時でもさり気ないフォローをくれる彼女だけど、今日はさらに優しさが沁みる。
「アノ女はムカつくけど、一番気になるのは鬼課長よね…」
苦々しい顔つきで2人を捉えた涼子は、意味深な言葉をポツリと呟いた…。