アイ・マイ上司とlove★battle
どうやら私の様子から察した賢い彼女が、ソレを代弁してくれたみたいで。
明らかに輝へ色目を使っている笹森さんの姿を見ると、何だか息苦しいよ…。
「あとで聞いてみたら?」
「うん、そだね・・・」
乾いた笑いのままぎこちなく返すと、2人を遮るようにデスクに視線を落とした。
心配そうな表情の涼子がさす”あと”とは、もちろん勤務時間外の事だけど。
何だか嫌な予感ばかりが張り巡らされて、すっかり意気消沈モードみたいだ。
「はぁ・・・」
涼子が作業に戻ったのを、嫌なモノでも吐き出すように溜め息をつく。
不安な心情を誤魔化そうとするのに、仕事だって割り切れるほど大人では無いし。
そんな矛盾する感情の往来ばかりで、一気にトーンダウンするなんてね…。
だけどソレでも仕事は待ってくれないから、脳内を数字に切り返させていた・・・
「斉藤さん、まだ勘定科目が違うけど…本当に確認したの?」
「す、すみません・・・」
午前中に以前ミスをした修正箇所の訂正を終えて、笹森さんの元へ向かえば。
ザザッと一瞥しただけで、すぐに眉根がピクリと動いて険しい顔つきとなった。