アイ・マイ上司とlove★battle
初めは“好き”なんて言葉が、冗談にしか聞こえなくて信じられなかった…。
一般社員の中でも、地味というより悪目立ちをしているであろう新人の私。
かたや早くして課長職を務めていて、出世街道まっしぐらのイケメン上司。
誰がどう考えてみても、交わりどころも接点も見当たらないもの・・・
ただお酒に酔った課長が、部下をからかっていたのだと思っていたのに…。
課長から“鈴…”って呼ばれた瞬間に、私の中で上司に対する感情が芽生えたの。
ううん…、貴方から差し出された手を取った瞬間に始まっていたのかな?
曖昧な笑顔と態度を見せてくる貴方に、すっかり惚れ込んでいたのは私で。
ただの上司と部下が、ただの男と女へと変化するのは簡単だったね…――
「…斉藤さん、頼むから科目くらい覚えてくれ…」
心地良いテノールボイスを響かせながらも、対称的に眉根を寄せている美麗な顔立ち。
「す、すみません…」
ソレはあり得ないポカミスを繰り返す私に、今日も溜め息交じりに皮肉る課長だ。