アイ・マイ上司とlove★battle
不安を口にすると現実になってしまう、なんて誰が言ったんだろう?
好きっていう気持ちが日々のパワーになって、もっと頑張りたいって思っていたのに。
本当に伝えたい想いとは、まったく違う言葉が出るくらい悲しい事はないね・・・
「おはよー、ございます…」
「はよ…って、何だその顔…!」
「何て失礼な…、二日酔いですよ…」
翌日の朝、大平さんの近くを通りすがりに挨拶をすればヒドイ言われようの私。
ヘラヘラ笑って誤魔化したつもりが、彼の反応は明らかに見抜いたという表情だ…。
昨日はとにかく輝から逃げたくて、大通りでタクシーを捕まえ乗り込んだ私は。
アパートの真っ暗な部屋の中で、ベッドへ突っ伏して泣きながら眠っていたらしい。
タクシーに乗り込んだ時にオフにした携帯電話は、今も光を戻せないでいるのだ。
画面表示される“輝”の文字を見るのも辛くて、連絡回路を絶ったせいで…。
「話くらいは聞いてやれるから、あんま悩むなよ?」
「あ、りがとう、ございます…」
自席から立ち上がって、沈んだ私の肩をポンポンと励ますように叩いた大平さん。
“前向きかつムダにポジティブ”がモットーのクセに、今回は流石に堪えたらしい。
「斉藤さん…、ちょっと良いか?」
「・・・っ」
すると背後からコツコツ響く革靴音と共に聞き慣れた声に、鼓動がドクンと弾んだ。