アイ・マイ上司とlove★battle
入社時に受け取った辞令が、なぜだか経理部という数字と戦う部署だった私。
自慢では無いけれど、そんなに数字に対して苦手意識を持っていなかったのに。
今ではもう苦手意識すら持てていなかった、昔の自分に嘲笑と叱咤したい気分だよ。
新人というハンディを越えた無能社員には、お説教タイムが待ち受けているのに…。
「簿記2級…、よく取れたな?」
どうやら大学時代に取得出来た検定こそが、私に経理部を結びつけた要因らしい。
「う、運が良いのかもしれませんね…私って?」
整った顔を崩してまでの呆れた物言いに、苦笑と自虐交じりで返したというのに。
「否定は出来ない」
「…ヒドイです、課長」
ムダを省いたような一言限りの返答は、ソレすらピシャリと撥ね退けるから凄い。
全面的におバカな私が悪いと言っても、流石にココではフォローが欲しいよ…。
「とにかく、“コレ”の訂正頼んだよ」
「っ、ハイ…」
だけどまた溜め息をついた課長から、ズシリと重い総勘定元帳が差し出されると。
実に端的かつ冷静な口調で渡されたモノが、瞬時に私の心を温めてくれるの。
すっかり周りに知られた、私の大切なステディの曖昧さに翻弄されながら――…