アイ・マイ上司とlove★battle
密室+上司=?
輝を呼ぶ笹森さんを前にして、“気にしないで”なんて強がってみたけど。
やっぱり悲しいというか、虚しいというか、悔しいというか、何と言うか・・・
「いっ、た…――」
一心不乱に手を動かしていれば、紙の端でスパッと右手の人さし指を切ってしまう。
よりによって古紙なんかで切るとは、ついてイナイ証拠じゃないかな…?
次第に鮮血に染め上がる指先を見ていると、つくづく能ナシだと思わされて。
「あー、もうヤダ…!」
グルグル駆け巡る感情のせいで奇声をあげたのに、瞬時にシンと静まる室内。
ココは監査や税務調査を終えた資料に埋め尽くされ、誰もいない資料室で。
過去の資料を引っ張り出す時、皆が乱雑に戻すから定期的に整理をしているのだ。
そんな侘しいトコロとはいえ、役立たずにも出来る仕事だから嫌じゃないけど…。
「もう…、輝なんか知らない…」
紙の古びた独特な臭いと、窓も滅多に開けない密閉された空気感に包まれると。
今の心境で孤独が募る場所へと導いた、課長への文句が口をついて出てしまう。