アイ・マイ上司とlove★battle
彼女の真意は分からないけど、どうしてもさっきの発言は許せなかった。
まして彼女の私が原因で輝を貶されるなんて、これほど悲しい事はない・・・
「…わ、私が気に入らないのは…よく分かります。
だけど…、課長に対しての発言は…撤回して下さい、お…、お願いします…」
背の高い笹森さんから俯くようにして、必死に頭を下げてお願いをする私。
言い終えてから部下として如何な態度とは思ったけど、これだけは譲れないから…。
頭を下げたままでいると、静かな資料室内にコツコツとヒール音が響き渡って。
「…アンタ、本当にバカな女ね」
その言葉で顔を上げたと同時に、彼女の姿を消すように扉をバタンと閉められてしまう。
なお一層の事シンと静まり返った室内で、悔しさを押し殺してファイルを手にした私。
「…っ、バカなのは認めたじゃない…」
ブツブツ呟きながら流れる涙が、虚しさと子供っぽさを助長する気がしたけど。
どうしても止まらない涙は、大好きな人に抱きしめて貰いたい欲求を増すから。
今すぐ輝に会いたい…、“鈴だけだから大丈夫”だって言って欲しいよ・・・
「ひ…くっ、うぅ…っ」
元カノの存在が近くにあって出来ないし、余計に苦しくて、情けなばかり募るから。
幸せで一杯だった社内恋愛に、立ち込めた暗雲でまさか怖さが付き纏うなんて…――