アイ・マイ上司とlove★battle
お酒が入っていないとニュートラルな涼子の瞳は、珍しく怒りの色をなしていて。
口から出かけていた、“やっぱり釣り合わないよね…?”のフレーズを呑み込んだ私。
「イイ、鈴?ムカつく鬼課長の彼女はアンタなの!
泣いてても始まんないでしょ?今の課長が好きなのは、間違いなく鈴だから。
鈴は可愛いんだから、もっと自信持ってよ。あんなインテリ失礼女に負けちゃダメ!」
いつもは敢えて口に出さないトコロが優しさだけど、やっぱり頭の良い涼子。
「・・・うん、そうだね。
何か元気出てきた…、泣いてるよりも輝と話さなきゃ…!」
ウンウンと頷きながら彼女に視線を送れば、すっかり綺麗な笑顔に戻っていた。
「よしっ、それでこそ私のカワイイ鈴!」
浮上出来ない状態を察知して、愛情をたっぷりに叱ってくれる優しい子だから。
「ありがと、涼子」
「友達だもん、当たり前でしょ。
うーん…でも、鬼課長の肩を持つみたいで癪だけどね?」
「もぉー…」
フフンと鼻を鳴らして笑う姿は、何だか美紀さんに近づきつつあるけどね…?
泣きすぎて残念な顔に違いないけど、色々スッキリして2人で笑い合っていれば。
コツコツ…と一定の革靴音がドア越しに響き渡り、徐々にその音が近づいて来て。
「…いるんだろ?」
「・・・っ」
するとドアをノックする音が聞こえた瞬間、続いて届いた声に鼓動が高鳴った…。