アイ・マイ上司とlove★battle
ドア越しに響いた大好きな声のせいで、バカ正直なくらいに胸が高鳴る私の心臓。
すると直前まで笑っていた涼子が、表情を変えてカツカツとドアへ近づいて行った。
ドアノブに手を掛けた瞬間、彼女はバンッと威勢良く扉を開け放ってしまう。
「お疲れ様です、課長」
「あ、ああ…塚原さんもいたのか」
「ええ、大事な同僚が“意地ワルイ上司2人”に泣かされたので」
そうして対峙しているのは、冷笑を浮かべる涼子と呆気に取られた課長だ・・・
「ええ!?り、涼子…!」
…などと呑気に構える間もなく、口を開いた彼女の発言に慌てふためく私。
「――泣かされた?」
「・・・っ」
そのフレーズに眉根を寄せて、こちらを一瞥した輝と初めて目が合ったのに。
残念すぎる泣き顔に今ごろ羞恥が走り、パッと視線を逸らしてしまう私。