アイ・マイ上司とlove★battle
慌てる私をよそに、いつもは密かに送る苦々しい眼差しを輝へ向けている。
「悪意には正義を持って制す、のが信条なんです」
「フッ…、社内の君のファンもビックリするな」
彼の言葉通り、涼子はクールビューティなんて呼ばれるチョッとした有名人。
優しくて芯の強い子だけど、少林寺を習っていたコトは私も初耳だし…。
「あいにく、正面切って言わない男に興味ゼロですから。
ついでに言わせて貰えば、鈴を泣かせる男はもっと嫌いです」
「り、涼子…」
ソレだと思いきり、“輝が嫌い”と言っているようなモノなのに。
「いいのよ鈴、職務時間を割いた分の発言権くらいはあるし。
たまのスパイスも長続きする秘訣だもの、…そうですよね課長?」
涼子は臆するどころか、またひとつ零度の視線を送って詰る有り様だ。
「…確かに、ご忠告有り難く受け取っておくよ。
その為に時間作って来たし…?」
「当たり前です」
そんな涼子の発言にも飄々とする輝は、経験値がなし得るワザなの…?
「フッ…、鈴おいで――」
「ええ!?」
「いいから」
「っ、ちょ…!」
「…やっぱ、鈴ちゃん不足だ」
蚊帳の外だった私を、いきなり涼子の前で抱き締めた彼は曖昧人格すぎる・・・