アイ・マイ上司とlove★battle


大平さんとはそんなに年齢が変わらないというのに、悔しくなる時があるこの頃。



こういうトコロが子供だって分かってるけど、二十代半ばで今さら直りようもない。



膨らんでいた頬も暫くして、空気の抜けた風船のようにプシューと萎んでいく…。



「それより、仲直りしたのか?」


「へ・・・?」


すると空席となっている隣席のチェアに腰掛け、不意にこちらへ向いて尋ねて来た彼。



間抜けな声が漏れてしまった私に、どうやら話の糸が伝わっていないと思ったのか。



「あんなのに負けんな」


やたらと甘い声を響かせながら、上司の輝とバリバリ仕事をこなす人物へ目を向けた。



「・・・うん」


あれから笹森さんは、相変わらずデキの悪すぎる私に容赦ない態度で接する日々で。



挨拶をしても冷やかな視線を返されたり、目が合えば露骨に睨まれる事もあって。



輝と一緒にいる姿を見ないようにすれば、届けられる甘ったるい声がヤケに苦しいし。



輝から言われた“待っててくれ”の言葉だけが、今の私の頼りドコロだったから。



落ちている時に掛けられるシンプルな一言って、もの凄く心に響くんだね…。



笑顔でコクコクと頷き返せば、その態度で納得したように立ち上がった大平さん。



「まぁ、寂しくなったらいつでも相手してやる」


「はぁ!?…い、要りませんよ!」


最後に吹っ掛けられた言葉は、やっぱり彼らしいなんて思わされたけどね…?




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