アイ・マイ上司とlove★battle
スタスタと歩いていた涼子が、ようやく立ち止まったのはエレベーター前だった。
「…私、やっぱり課長嫌いだわ」
「・・・は?」
「取り敢えず、ソレだけ――」
綺麗な横顔を崩さず、ポツリと紡がれた大胆発言に目を丸くする間もなく。
話をバッサリと終えてしまう涼子は、何となく不機嫌オーラが漂っていた。
どうして私の周りには、こうも考えの読めない賢い人ばかりいるんだろう…?
これもまた、私のおバカさとドジ加減が余計に際立っている理由かもなどと。
ココでも呑気に考えていれば、ポンという到着音とともに眼前の扉が開いた。
「鈴、行くわよ」
「はーい…って、え!?」
誰も乗っていないエレベーターへと乗り込めば、何故だか階上のボタンを押す彼女。
「いいのよ、これで」
「でも…、ソレって」
「いいから――」
どうしてだろう…、口調は穏やかなのに殺気立つオーラに口出し無用の答えが出て。
不安が取り巻く私を乗せたエレベーターは、スーっとノンストップで上へと向かった…。