アイ・マイ上司とlove★battle
事実÷本気=?
恥ずかしいけど…この歳になるまで、自分から好きなんて思える人はいなかった。
人気者に憧れる周りに便乗して、ソレを恋に変換して楽しんでいたくらいで。
付き合った時もそう…、告白されて何となく付き合ってみようと思ったくらいだ。
就職先にこの会社を選んだのは、確かに最初に内定を頂けた事が一番の理由だった。
特筆してるモノが無いから、フツーの事に誰よりも必死にならなきゃいけなくて。
ソレでもフツーにすら埋もれる私を選んでくれたココが、今は大切な場所に思えるの。
結局のところ、ちっぽけな私の人生には“何となく…”が常について回るけど。
ただ漠然といつか皆と同じように、フツーに幸せを手に入れるモノだと思ってた。
“鈴、オマエが好きだ…”
ある日に起きた、私の人生で最高の爆弾投下と等しい貴方の告白によって。
のらりくらりと過ごす毎日を変えてくれた、大人すぎて掴めない輝のお陰だよ・・・
「社長、どうかな…――」
話しながらガチャリとドアを開ければ、目の前の光景に呆気にとられたのか。
「いや…、悪いな」
「課長すみません、お呼び立てして。
ついでに。笹森さんも…」
そのまま続きの言葉を呑みこんだらしい輝が、珍しく目を丸くしているけど。