アイ・マイ上司とlove★battle
社長の発言を遮った挙句、強烈な先制パンチを仕掛けた涼子には私も驚きだ。
「“ついで”って…、ぞんざいな言い方ね」
「あっ、それはすみません。
“案外”と素直なせいかもしれませんね?」
輝の背後から現れた笹森さんに臆することなく、サラリとかわすほど鮮やかで。
そんな2人の発する空気は、社長室内をツンドラ地帯へと変えてしまう気がする。
発言は丁寧に思えるけど、所々で強調される言葉に怨念が込められてるもの・・・
不穏な空気の中で輝と笹森さんが空いていたソファへと、ひとまず腰を下ろせば。
「これで願いは叶えたけど?」
フラストレーションが溜まっているらしい涼子へ、社長が呆れた声色をみせた。
「いい加減、シラを切るのは止めてよ」
「どういう意味だ?」
「ソレはお兄ちゃんでしょ。
オマケに課長と笹森さん、貴方がたもです」
社長にけしかけるように返すと、輝と笹森さんにも冷たい視線を投げ掛けるから。
「涼子…、どうしたの?」
「なに隠してるのか、ハッキリして貰いたんですよねぇ。
たとえば、経理部内で何かあったとか…?」
「・・・え?」
それまで窺えずにいた輝の顔色を、涼子の一言があまりに簡単に解いてしまう。