アイ・マイ上司とlove★battle
知らない事があるのは当たり前で、別に今の彼を知っていれば良い。
そう考えていたのはもちろん、大好きな輝に愛されてると分かるからで。
至ってフツー…いや、それ以下の私でも彼の隣に居られる自信が出たトコロなのに…。
「あー、さすがは鈴ちゃんだ」
「…どーせ、バカって言いたいんでしょ?」
クックッと綺麗に笑う彼とは対照的に、ムスッと頬を膨らませている私。
あれから残業を終えた私と輝は、いつものバーでお酒を酌み交わしていた…。
「その前に“可愛い”が付くけど」
「う゛…、あんまり嬉しくない」
「最上の褒め言葉なのになー」
そう付け加えて彼がグラスを傾ければ、カランと氷が心地良い音を立てた。
「せめて、ドジのカテゴライズから外れたい…」
今日もバーボンを嗜む彼は、大人の男の雰囲気を店内にも撒き散らすのに。
その隣でうな垂れながら呟いている幼稚さは、彼女として如何なモノだろう…?
「上司としての意見なら…、部下の成長は嬉しいけど。
ナチュラルこそ鈴ちゃん、だろ?」
「っ、甘やかしすぎ…」
「さぁ?」
私は妖しい笑顔に対して、恥ずかし紛れで“ファジー・ネーブル”を手にした…。