アイ・マイ上司とlove★battle
だけど…金曜日の今日はお休みして、そのまま別の部署へ月曜から出社だなんて。
今さら虫が良すぎるけど、やっぱり私たちの顔なんてもう見たくないよね…。
「…鈴、感傷に浸ってるトコ悪いけど。
誰も傷つかない恋愛は本物じゃないわ」
「涼子・・・」
申し訳なさで一杯の私を窘めれば、自席から空いていた私の隣席へと替わってしまう。
「大体ね…“昔の男”ぐらいで今ドキ辞める訳ないわよ。
笹森さんだって、自分からシステム企画部へ異動志願したんだから。
そもそも、あの女が男ひとりで崩れるほど弱く見えた?
出来たキズはいつか治るように。オンナの意地も強いのよ!」
「そっか…、私も頑張る!」
朝イチから落ちかけたテンションを、すかさず上昇させてくれた彼女に感謝だね。
「フッ…、その方向性を間違わないで欲しいけどな」
「か、課長…」
笑い声とともに背後から漂ってきたのは、ふわりと大人のオリエンタルな香りで。
話に夢中だったせいか、コツ、コツ…と鳴り響いていた革靴音を聞き逃したようだ。
「そう仰る課長こそ、“以後”お気をつけ下さいね」
私がドキドキ胸を高鳴らせている間に、涼子はニヤリと笑ってキツイ一言を放った。
「ご忠告サンキュ」
「いいえー、あくまで“鈴のため”ですから」
何となくだけど…、涼子が輝タイプの男性を毛嫌いしてた理由も昨日で分かったから。
ハハ…と苦笑する輝の表情がやたらと可愛く思える私は、これも役得だよね?