アイ・マイ上司とlove★battle
落ち着いたネイビーのスーツを着た輝は、ひいき目線といっても格好イイから。
いつか涼子みたいにバリバリ働き女子になって、私も打ち負かした…――
「鈴には絶対ムリだから、諦めなさい」
「あっ!また人の考え読んだ…!」
そんな野望を密かに掲げながら、ニヤニヤと妄想ワールドへ足を踏み入れていたのに。
「いや、誰でも分かるぞ――」
「ひ、ヒドイです…」
思考回路が単純すぎて分かりやすい、とでも言いたげな2人に頬を膨らませてしまう。
するとその時、ガヤガヤとうるさい後方から、課長!と呼ぶ声が部内に響き渡った。
「ああ悪い、いま戻る!」
当の本人である輝が振り返ったから、てっきり私はそのまま戻ると思ったのに。
「そうそう。斉藤さん、忘れ物には注意してくれ」
「へ・・・?」
再びクルリとこちらへ翻った彼は、チャリ…と音を立てて私の机上へ何かを置いた。
目をパチクリさせながら捉えたのは、特殊でセキュリティ万全な輝のマンションの鍵。
置き去りにされたソレに動転しながらも、我に返って彼の背中へと視線を変えれば。
「――意味、分かった?」
「…っ」
お見通しと言わんばかりに振り返った輝に、アイマイな笑顔をお見舞いされるから。
大好きすぎる曖昧上司な彼とのラブバトルは、一生あきることなく続きそうね・・・
【アイマイ上司とlove★battle☆終】