素敵な片思い
旅行会社って言ってたっけ。…転勤、あるんだぁ。


「そんなな、めちゃめちゃ遠い場所やないんやけどな…」


小玉さんは、そのまま目を閉じて、顔に腕をあて黙ってしまう。


下手に話しかけられず、手元を見つめたまま…二人でしばらく沈黙。


小玉さん…


辛いよね。


カノジョが…転勤。


そして…このリングは、


もしかして…プロポーズ用…だったの?


それを考えると、私の指が震えそうになる。







そんなの…尚更


これはもらえないよ。


「…小玉さん」


そっと手をのけると、小玉さんの瞳は…少し潤んでいた。


「…ごめんなぁ。あかんわ、また思い出してもーた」




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