素敵な片思い
「…は?何、笑ってんだよ」


しまった、ついクスッと笑っちゃった。


「ううん。杉浦くんを笑ったんじゃないよー」


頭の中には、この間の朝に私をタクシーで家まで送ってくれた小玉さんの寝癖。


正面からだとわかんなかったけど、隣に座ってると、後頭部のトコがちょこんっとハネていた。


黒髪なんだけど、地毛の色素が薄いのか、少ぉしだけ茶色っぽい小玉さんの髪。あと、目の色も、真っ黒じゃなくって透き通った薄茶色なんだよね。


明るい所で少し接近して見ないと、わかりにくいんだけど。





「ふーん。相原、あやしーな」


「怪しいって、何が?」


「オレ、相原の好きなヤツ…わかったわ」



ドッキーン



バレてるね、これは完全に。



だって、さっき話して、車に乗った後でコレだもん。



そうか。さっきの、バックミラーの無言の視線は、


それを意味してたんだ。


ま。


杉浦くんなら、バレてもいいけどね。


相談乗ってくれそーだし。







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