素敵な片思い
…さて。
部屋の中にずっといても仕方ないし、旅館の周りでも散策してこようかなぁ。
小玉さんは、携帯置いてどこに行っちゃったんだろーね。
部屋を出ると、ちょうど隣の人が部屋に入る所だった。
同年代か、少し上ぐらいに見えるカップル。
いいなぁ、私もカレシとこんな旅行で一泊旅行したいな。
今日は小玉さんと、疑似旅行だけどね。
女の子が私を見て、ふいに笑顔になった。…あら、可愛いヒト。
私もつられて笑顔に。
カレシさんも、また笑顔。
見知らぬ三人で笑い合ってると、彼女が話しかけてきた。
「あのぉ…。その、バレエシューズ素敵ですね。どこのですか?」
「…はい?」
何聞かれるかと思いきや、いきなりそこ?しかも服じゃなく、靴。
「お前、失礼だろー。何聞いてんだよ…。すいません、コイツ空気読めないんで」
カレシは私に頭を軽く下げながら、カノジョの頭を小突く。
「いえいえ…」
いえいえと言いながらも、カノジョが不審人物に思えてくる。