素敵な片思い
本当は一人で立てるけど…今だけ甘えちゃおう。


小玉さんの手に触れると、グッと引っ張って立ち上がらせてくれた。


幸か不幸か…


足がふらつき、勢い余って小玉さんと正面からぶつかりそうになる。


けど、頑張って踏ん張った。


恥ずかしくて小玉さんを見上げると、彼は笑っていた。


「…ぶつかったらも~けモンやな思ったけど、踏ん張りよったなぁ」


「なっ、何言い出すんですかぁ?もぉ…そーいうのがいけないんです!小玉さんは、女の敵ですよ。私みたいな人が、たくさん増えます…」


本当にもう。困った人だよ。


「そんなモテへんよ?オレ」


「でしょーねっ。カノジョが大好き過ぎて、正直ヒきましたよ」


ヒいたりしてないけど、意地悪で言ってみる。


「マジ?え、そんなん言うたっけ?」


「言いましたよ。小玉さん前からそうですから。営業車に乗せてくれた時も…」


そこまで言って、大切な事を思い出す。






そうだ…


あの指輪。



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