好き過ぎて
迫りよる影
あれから、希夢に降りそそる災難が増えている。

大学の校舎の窓ガラスが割れて、希夢に当たりそうになったり、工事の鉄の棒が倒れてぶつかりそうになったり、電車のホームに落ちたり......

この間は強盗犯に人質として捕まった。



幸いな事に全て無傷だったが、必ず聞こえて来る

「許セナイ」
「憎イ」
「離レテ......」

あの声......

あの声は絶対に柚姫の声だ。

あの頃と変わらない柚姫の声......

怒っているようにも、泣いているようにも聞こえる。



柚姫とは喧嘩別れしたままだった。

あの時、酷い事を言ったと思う。

でも、俺は優しい言葉をかけて、変に期待させる方が酷いと思ったんだ......



でも、それでお前を傷つけてしまったんだな......


お前が怒るのも無理はない。

だから......

憎むなら、俺を憎んでくれ......

柚姫......
< 5 / 38 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop