見付からないキモチ。

「何でまだ
一緒に居ようって言えるの?」

通話料金が無料になるからと、
名義変更した私の携帯。
使い過ぎ、
また仕事が余り入らず、
支払いに事欠き、
挙げ句に巧の携帯までも
止めようとしていた。

「好きだから」

穏やかに巧は答えた。

その優しさと情けなさで、
涙がぽろぽろと
頬を伝い落ちていく。

「ほら、
こういう時は麻美から
抱き着いて来るんだよ。
おいで?」

首を横に振る。

「おいでって」

少し困ったように、
巧は優しくまた、
受け入れ様ときっかけを
私に差し出す。

「どうして……、
どうして嫌いにならないの?
こんな奴要らないでしょ!?」

「俺が今まで一度でも
嫌いだとか要らないとか
言ったか?」

困った顔は、
呆れと怒りを宿した顔になった。

「好き?
誰にでも股を開く女を?
誰とでも寝るこんなのを?
デリヘルやってんだよ!?」

きっと誰よりも
私は私を嫌いだ。
それは私だけが
自分の汚さを全て知っているから。
デリヘル嬢と知りながら
私と付き合った巧。
私には理解出来なかった。
どうしてデリヘル嬢なんかと?
もっと普通の、
OLだとかを
選ばなかったのだろう?
遊びだとしても、
構わないと初めは思ってた。
私も彼を好きになった訳でなく、
私の求めるものをくれる所に
惹かれたに過ぎなかったからだ。
でも、今はもう……。
嫌われると解りながら、
意固地な私は、
嫌われるような事しか
出来ないで居る。
いつか嫌われるなら、
その前に私から消えようと思った。
彼からの
『さよなら』
に耐えられそうも無いから。

 
 
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