彼蜜sweet【完】
何回も何回も早く鼓動を打つ心臓。
もー、もたない…。
やけに寂しげな後姿が目に焼きつく。
喧嘩上等、女に手を出すのは早いし誰よりもモテて憧れの存在なアイツが寂しそうな背中を見せていた。
私…いつまで気付かないフリしてるんだろう。
大和が好き…って事から目を逸らしてた。
手の早いアイツが頑張って‘我慢’してくれてた事とか全てが私を保護してくれてた行動だったのに。
「…大丈夫だった?」
「う、ん」
喉から声を絞り出す。
「本当は俺、アイツにあんな事言うつもりなかったんだけど」
「え?」
「綾乃ちゃん見てたら、言っちゃった」
頭をワシワシとかきむさぼるショウ君。顔は真っ赤で目を合わせてくれない。
「さっきの冗談だからな?…綾乃ちゃんが好きって事」
たった一言なのに心が揺さぶられて。でも、東の寂しそうな背中とか顔が浮かんで狂い始めた私の心。