彼蜜sweet【完】
少しビクついた綾乃の肩をそっとつかむ。
放った言葉とは正反対の勢いで。
「は、離してッ…」
「ヤダ」
「ヤダじゃないでしょッ…!」
「俺が綾乃に触ってたいの」
それだけ言うとお互い黙りあった。
階段で密かに甘い空気が流れる。
「逃げんなよ…」
「え」
「テメェが逃げるから…ずっと言い損なってたじゃねェか」
こっち来いよ
って囁いたら、綾乃はストンと何のためらいもなく俺の胸に収まった。
小っせェ……。
久しぶりに香る甘いシャンプーの香り。