彼蜜sweet【完】
「そっか…」
わざと落ち込んだフリして気を向かせる。
俺って意外と演技派かも(笑)…なんて思ってみたり。
しばらくの沈黙が流れた。笑ってれば3秒程度に感じられるこの時間も静かな今では1時間のように。
黙っていたのは、ほんの2分だったのに。
「つ、続きって………どこまで…?」
綾乃に背を向けていた俺はまた自分の耳を疑うことになる。
期待していた言葉なのに、コイツの口から聞くと調子狂う…。
「綾乃が望むところまで」
優しく微笑みかけてみる俺………本当に笑えてるかな。
もしかしたら緊張で顔が引き攣ってるかも。
「…東の…ば―――かっ…////」
優しい唇が重なった。背を向けていたにも関わらず、あいつはこっちへ来てくれた。
それが嬉しくて、もっと期待していたくて俺は…―――――堕ちたんだ。
「…俺の欲望、満たしてくれる?」
「…無理」
俺のこと…好きじゃねぇくせに
俺のことどーも思ってないくせに。