彼蜜sweet【完】


「そっか…」



わざと落ち込んだフリして気を向かせる。



俺って意外と演技派かも(笑)…なんて思ってみたり。



しばらくの沈黙が流れた。笑ってれば3秒程度に感じられるこの時間も静かな今では1時間のように。



黙っていたのは、ほんの2分だったのに。






「つ、続きって………どこまで…?」





綾乃に背を向けていた俺はまた自分の耳を疑うことになる。



期待していた言葉なのに、コイツの口から聞くと調子狂う…。




「綾乃が望むところまで」



優しく微笑みかけてみる俺………本当に笑えてるかな。



もしかしたら緊張で顔が引き攣ってるかも。



「…東の…ば―――かっ…////」



優しい唇が重なった。背を向けていたにも関わらず、あいつはこっちへ来てくれた。



それが嬉しくて、もっと期待していたくて俺は…―――――堕ちたんだ。




「…俺の欲望、満たしてくれる?」




「…無理」



俺のこと…好きじゃねぇくせに



俺のことどーも思ってないくせに。
< 68 / 363 >

この作品をシェア

pagetop