”未完全”
綾乃は、日を増すごとに可愛くなっていった。
すれ違う人が、振り返る位、それぐらい綺麗で可愛い
女の子に成長していった。
父親も、そんな綾乃を、知り合いの人に
よく自慢していた。
どこに行っても、”可愛いね”と言われた。
そう言われる事が、綾乃も嬉しかった。
だが、そういう言葉を、言われ続けるうちに
そう言われる事が、当たり前だと、
思うようになっていった。
知らないうちに、可愛いと言われる事が、
自分の自信にもなっていった。
極端な言い方をすれば、自分の可愛いと
言われる事だけは、信じていた。
どこかで、何かを、信じたかった。