バイク>オレ>オンナ

ー9月某日
午前12時ごろ





オレはいつものように
キャスター付きのイスに
腰を掛け





パソコンを使って会議用の資料作成に追われていた





目線は元原稿を見ながら
手はキーボードに置き





誤字脱字なくパチパチと
文字を入力していった





今日の午後3時から
オレの会社では
総会が開かれるため





膨大な資料を
社員一同が急ピッチで
作成中なのである





だから
いつもはランチタイムの
この時間にも





休憩時間を返上して
働いてる





今日なんて米一粒も
口にできていない状態だ





総会というのは血祭りと
社内では称されるほど
慌ただしいのだ





そんな中
オレはどこかから
女の声が聞こえた





その声は
声にもならないくらい
小さく、かすれていて





オレ自身もその声は
空耳なのかと
思うほどだった





その声はどこかで
聞いたことのある
懐かしい声だった





オレは自分の脳を
フル回転させ





その声の正体を
明かした





……片瀬莉奈だ





莉奈の声を聞いたのは
何ヶ月も前で
一言しか聞いていないが





オレには
はっきりと莉奈の声だと
認識をした





オレはいてもたっても
いられなくなり





勢いよく立ち上がると
口が勝手に





『大切な人に会わなくてはならないので少し出てきます』





そう発言していた
そして足もまた勝手に
走り出して





会社を出るとタクシーに
乗ると莉奈の病院へと
向かっていった
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