この晴れ渡る青空の下で
「何? 逃げられちゃったの?」

「えっ、ええ」

俺の質問に、その人は少し戸惑いながら答えた。



「あの……ここに入ったように見えたもので……すみません」

「あなたの子供?」

左手の薬指には指輪が無かったけど、一応訊いてみた。



「いいえ、兄の子なんですけど、いろいろと事情があって……」

「そっか」

その人の答えに、何故かホッとしている自分が居た。



「あっ、俺、日高大地。よろしく」

「あ、私は宮本希未で、姪っ子が愛子って言うんです」



俺が挨拶をすると、その人も挨拶をしてくれた。

すると、ベッドの下から隠れていた女の子が、『プッ』と吹き出した声が聞こえた。

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