この晴れ渡る青空の下で
俺は何か話し掛けようと、話題を探した。

その時、さっきの事を思い出した。



「あの、宮本さんって、『きぃちゃん』って呼ばれてるの?」

「ああ……愛子には。友人は『きぃ』って」



『きぃ』……そう聞いた瞬間。

誰か分からない女の人が、『きぃ』と大きな声で叫んでいる声が頭の中に響いた。



「あ、じゃぁ、嫌じゃなかったら、今度から俺にも『きぃさん』って呼ばせて」



あれっ、まただ。

俺は無意識のうちに、そう言っていた。


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