この晴れ渡る青空の下で
「あの……きぃ、お久し振り」



『お久し振り』って……。

自分の中の感情を言葉に出来なかった。



そこに居たのは、3年会ってないお兄ちゃんの元奥さん……つまり愛子の母親・翔子だった。



お兄ちゃんが昔、ある事件がきっかけで知り合い、私と年が同じで話しが合い、そのうち押し掛け女房で家に嫁いできた翔子。

でも。

愛子が生まれた頃、お兄ちゃんが今の課に転属になって、それで凄く不安になったのと育児ノイローゼ気味だったのが重なった。

愛子が1歳10ヶ月の時、私の帰宅時間に合わせて愛子を寝かせ、『ごめんなさい。これ以上耐えられません。自分の人生を歩ませて下さい。』ってメモ紙と離婚届を置いて出て行った。

お兄ちゃんがその後、実家の方に話し合いに言ったけど、結局本人とは話せないままだったとか。

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