この晴れ渡る青空の下で
はぁ。



「きぃ?」

私のため息を聞いて、お兄ちゃんは不思議そうな表情をする。

私は肩をすぼめて見せる。



「私、まだ死にたくないから、これ以上何も言わないよ」

「えっ?」

「『人の恋路を邪魔する者は馬に蹴られて死んじまえ』ってやつ?」

「……ああ」



お兄ちゃんは、クスッと笑った。

私も同じ笑顔をする。



「歩いて大丈夫なんだったら、後で携帯番号教えるから、電話掛けてやって」

「分かった」

そんな感じに話がまとまった頃、丁度点滴が終わりそうになった。



「あ、今誰か呼んで来るから、ちょっと待ってろ」

そう言って、お兄ちゃんは姿を消す。

< 95 / 203 >

この作品をシェア

pagetop