ダイヤモンド・ヒーロー
それに、朝日学園の野球部なんて……。
「あれっ? 咲良に言っていなかったっけ?」
「聞いてないよっっ!」
「ごめん、ごめん。
あたしの“双子の兄”の、杉本 大。 ポジションは…… 言わなくてもわかるか」
キャッチャーだよ!
湊人のボールを取っていて、湊人×大のバッテリーは無敵なんだ。
「どうも……。 “サクラちゃん”だよね?」
「えっ、あっ、はいっっ」
今まであたしと春香の会話を黙って聞いていた春香のお兄さん――― 大さんに、名前を呼ばれた。
――― でも。
あたし、名前を言った覚えは無い。
「…… どうして名前?」
「あー、春香に聞いたから?」
疑問で聞いたのに、疑問で返す。
そんな所は、兄妹そっくりだ。
「じゃ、大! 咲良を野球部の練習を見せてあげてね。 あたしは、書類を提出してくるからっ」
それだけ言い残して、春香は朝日学園の校舎に消えていった。