ダイヤモンド・ヒーロー
湊人は今でもあたしたちの“約束”を覚えているんだ。
約束を守るためにバットを振って…… ボールを投げているんだ。
「湊人から、咲良ちゃんとの事は聞いている。
アイツ、今年はマジで狙っているよ? ――― 甲子園」
湊人が“甲子園 出場”を夢見て3年。
約束を叶えるために練習を頑張って3年。
「湊人なら……、大丈夫です」
根拠があるわけじゃない。
それでも……。 湊人なら、必ず“約束”を守ってくれると思う。
湊人だから、信じている。
「湊人は私が来ることを知っているんですか?」
不意に、疑問に思った。
もし、湊人は、あたしが来るのを知っていたら…… どうする?
あたしに会ってくれる?
会ってくれない?
「知らせてねーよ。 驚かせてやろうと思って」
湊人に会えるまであと少し―――。
グラウンドがゆっくり近づいてきた。