ダイヤモンド・ヒーロー




3年生らしき人が、ボールを打っている。

どうやら、今は“守備練習”をやっているみたい。



「…… これ、どうぞ」


「ありがとう…… ございます」


マネージャーがあたしにお茶をくれた。


黄色いコップを受け取り、口を付ける。


冷やされたお茶が、あたしの体を冷やしていく。

暑い太陽が容赦無く照り付ける。




「湊人先輩に会いに来たんですか?」


「えっ……」


横に立つ、マネージャーに視線を移した。


「――― ッッ」


彼女の…… あたしを見つめる冷酷なその目線。

息が止まってしまいそうになる。


「湊人先輩は、今日はもう練習には戻りません」




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