ダイヤモンド・ヒーロー
市川に頼んでおけば大丈夫だろう。
「じゃ、俺は行くわ。
――― なるべく早く練習には戻って来るから」
それだけ言い残して、俺は校舎に向かった。
靴を履き変え、吹奏楽部の音が響く廊下を歩く。
「先生、遅れました」
「おー、相原。 遅かったな」
担任のいる研究室に入った。
窓から差し込む光りが、俺と先生を照らす。
「先生、俺に用事って何ですか?」
「お前、練習が忙しいのが分かるが……。 ちゃんと“公欠届け”を出せよ。 未提出だと“欠席”になるぞー」
そうだ。 今は、予選大会の真っ最中。 平日に試合がある場合は“公欠届け”を出さなければならない。
この間の試合の時は、ギリギリだったもんな。