ダイヤモンド・ヒーロー
野球、か……。
野球は確かに好きだし、大学でもやりたいと思う。
でも、俺は……。
「“プロ”を目指しているわけじゃ無いんで」
「教え子がテレビで活躍するのが、先生の夢だったんだけどなー」
「ハハッ、すいません」
プロになって野球するのも楽しそうだが。
俺はそんなことより、子供たちに野球を教えたい。
「相原、もう終いだ。 練習、戻っていい」
「失礼します」
先生に背を向けて、ドアに向かって歩みだす。
「練習、頑張れよー」
ドアを閉めようとした時。 担任の間延びした声が聞こえた。
練習に戻る為、廊下を歩く。 何気なく、グラウンドに視線を移した。
「――― ? あの制服」
咲坂の制服を着ている女の子が野球部の練習を見ていた。