ダイヤモンド・ヒーロー
今のままでは、ダメだってわかっている。
志望校だって変更した方がいいのだって―――。
それでも、あたしは。
「朝日大学、いきたいな……」
“朝日大学”じゃないとダメなんだ。
「咲良、見終わった?」
「終わったよ」
キッチンからお母さんが顔を覗かせた。
「よかったね、湊人くん。 2回戦も勝って」
「うん…… よかった」
湊人が試合に勝つのは、当たり前。
湊人の練習量はハンパないはず。
部員の誰よりも……。
全国の高校球児の中でも、トップクラスなはず。
「…… よしっ」
あたしだって、湊人に負けていられない。
湊人は、甲子園を目指して……。
あたしは、朝日大学を目指して……。
目標は、違うけど。
お互い夢を追うもの同士。
負けてなんて、いられない。