ダイヤモンド・ヒーロー
「ここ最近、調子がいいみたいだなっ」
「えっ…… あっ、はいっ」
「何があったかは知らないが……。
最後までみんな、全力を出すようにっ!」
「「はいっ!」」
全力を尽くせば後悔しない―――。
例え……。 甲子園のマウンドに立てなくとも。
俺は後悔しない。
「――― 約束、だよ」
瞳を閉じると、中学生の咲良が目に浮かぶ。
俺の夢は、俺だけの夢ではない。
俺の夢は、咲良の夢でもある。
「あと少しか……」
小さく呟き、窓から空を見上げる。
空は青く濃く―――。
それは、まるで……。
甲子園の近づきを知らせるかのような、空の青さだった―――。