ダイヤモンド・ヒーロー
小さい約束
「何やってんだ?」
「なっ…… 大っ!! あっち、行けよっ」
試合と試合のほんの数日。
俺は部屋で、手紙を書いていた。
「あー、そろそろ咲良ちゃんの誕生日か」
俺の卓上カレンダーに視線を移した大が、納得した声を上げた。
――― 7月21日。
これは、咲良の誕生日。
咲良と別れて、3年目の今年の夏。
「“今年も”送るのか?」
「まあな……」
なんとなく……。 咲良と別れたとしても、誕生日だけは祝ってやりたかった。
会えない―――。 そうわかっているのに、誕生日だけは……。
俺にとっては大切、なんだ。