ダイヤモンド・ヒーロー

小さい約束





「何やってんだ?」


「なっ…… 大っ!! あっち、行けよっ」


試合と試合のほんの数日。

俺は部屋で、手紙を書いていた。


「あー、そろそろ咲良ちゃんの誕生日か」


俺の卓上カレンダーに視線を移した大が、納得した声を上げた。


――― 7月21日。

これは、咲良の誕生日。


咲良と別れて、3年目の今年の夏。



「“今年も”送るのか?」


「まあな……」


なんとなく……。 咲良と別れたとしても、誕生日だけは祝ってやりたかった。


会えない―――。 そうわかっているのに、誕生日だけは……。

俺にとっては大切、なんだ。




< 127 / 200 >

この作品をシェア

pagetop