ダイヤモンド・ヒーロー
それは……。 中学生の時。
「あーあっ、どうしてあたしの誕生日って毎年“夏休み”なんだろう?」
こうやって、咲良が言ったのがきっかけ。
* * *
「別に誕生日なんていつだっていいだろ?」
「よくないよー」
咲良が頬を膨らます。
風通しの良い非常階段で、5限目を咲良とサボる。
こうやって、付き合いはじめて何度もサボった。
非常階段は人通りも少なく、教室から1番遠いから授業をサボるには好都合。
「夏休みだったらさ……」
頬を赤らめて、咲良が俯く。
夏休みだと何がダメなんだ?
夏休みだろうと、平日だろうと…… 俺には関係無い気がするんだけど?
「夏休みだったら……。 湊人に“おめでとう”言ってもらえないじゃん」
「――― っっ」