ダイヤモンド・ヒーロー
俺からの一言、か……。
さて、何を言うかな。
甲子園のために、誰よりも練習してきた。
今日の日のために、俺はやってきた―――。
みんなで甲子園を目指して。
咲良の夢を背負って―――。
その夢を叶えるのは“今”なんだ。
全員の顔を、ゆっくり見回した。
そして、俺からたった一言。
「野球を、楽しもう―――」
俺が言えるのは、これだけだ。
「いつものように、野球を楽しむんだ」
もっと、カッコイイ事が言えたらいいが。
俺にはこれが、限界だ。
「楽しむことを忘れるなよ。 まあ、がんばろう」
締まりの無い最後だが……。
「頑張るぞー!」
「「オーーッッ!」」