ダイヤモンド・ヒーロー
「――― ッッ」
さすが、決勝戦。 点数が全く動かない。
どっちも“甲子園”に出場したい気持ちはわかる。
「頑張れ――― 湊人」
もし、野球の神様がいるなら。
たった一つ。 あたしは、願う。
「湊人を、甲子園に連れていって―――」
試合は点数が動かないまま、中盤を迎えた。
「ピッチャー、変わりまして……」
アナウンスが入った。
ここからが、湊人の頑張るところ。
小走りな湊人がマウンドに立った。
「甲子園、行くんだよね―――」
湊人が中学生から見てきた夢。
それを今、叶える時が来たんだ―――。