ダイヤモンド・ヒーロー
空を見上げて
* * *
「野球のマウンドが“ダイヤモンド”なら、湊人はダイヤモンドの一部なんだねっ」
寒い冬のある日。
野球の知識なんて無い、咲良がある日…… 唐突にこんなことを言い出した。
「なんで?」
「だってさ……」
咲良マフラーに顔を埋めながら俺を見上げて、言った。
「だって……。 野球をやっている湊人って、宝石みたいに“キラキラ”しているんだもん」
何を思ったのか、咲良はたまに野球について話し出す。
野球について…… というか、俺についてだな。
「湊人は野球好きでしょ?」
「まぁな」
「野球するの楽しい?」
「あたりめーだ」
野球が楽しくなかったら、野球なんてやってらんない。